交通事故になると加害者と被害者という利害関係が生じ、被害者は加害者に対して治療費を請求することができます。また場合によっては、病院側から直接加害者に対して治療費が請求されることもあるようです。一方、加害者の治療費については二の次になってしまうケースも少なくありません。被害者に対する申し訳なさといった感情や手続きの観点から後回しになりがちです。しかし、加害者とはいえ適切な治療を受ける権利は当然あります。そこで、ドライバーの方は万一加害者になった場合の治療費について把握しておくべきと言えます。
交通事故における加害者の治療費は、自動車保険によって支給されます。任意保険に加入している場合はもちろんのこと、自賠責保険からも治療費が支給されることを知っておきましょう。ただし、加害者の過失割合が10割の場合は自賠責保険から治療費が支給されることはありません。また、過失割合が7割を超える場合には、支給額が減額されます。
では、加害者の過失割合が10割というケースでや、過失割合が多い場合の治療費はどうなるのでしょうか。この点は、任意保険でカバーするのが原則です。そして、任意保険に「人身傷害補償特約」を付けておくことで、過失割合に関係なく損害額を受け取ることができます。この特約では補償の範囲も広めに設定されており、治療費の実費はもちろんのこと、病院までの交通費、仕事を休業した場合の所得の補償、精神的苦痛に対する慰謝料までが支払いの対象です。さらには、自損事故に対するケースでも治療費などが支給されます。
つまり、任意保険に人身傷害補償特約を付ければ、万一加害者となった場合でもお金の心配に悩まされることがなくなります。そして、精神的な負担も随分と軽減することが可能です。また、自分の治療を後回しにする必要もなくなります。